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Under Ten

税理士に節税の相談をすると、まず聞かれるのは「車、買いませんか」だ。

法律には直感的でない概念が山ほどあるが、減価償却は珍しく骨格が納得できる。100万のものを買って5年使うなら、毎年20万ずつ費用にする。実務に下りれば定額法と定率法が出てくる。業種ごとの細則が出てくる。わかりやすいとは、決して言えない。それでも、根っこの発想は素直だ。

困るのは「使う期間」を法律が決めることだ。耐用年数。普通車は6年、PCは4年。スマホになると話が割れる。電話扱いか、PC扱いか。どちらに寄せるかで年数が変わる。電池が膨らんで蓋が浮いた頃の機械にも、税務上はまだ価値が残っていたりする。物理的にはとっくに死んでいるのに、償却資産税までかかる。

この苦痛を緩和するために、抜け道がいくつか用意されている。10万円未満は全額その場で経費。20万円未満は3年で均等償却。中小企業なら30万円未満まで一発で落とせる、年間合計300万円まで。たぶん今もそうだったはずだ。たまにいじられるので自信がない。

ただ、節税相談で「PCを買え」とは言われない。彼らが薦めるのは決まって車だ。300万、400万の塊を一度に動かせる。しかも6年落ち以上の中古を買うと、耐用年数が12ヶ月まで縮む。中古資産の計算式に当てはめるとそうなる。要するに1年で全額落ちる。

ここで地味に効いてくるのが「中古とは何か」という認定だ。車には来歴がある。誰がいつ登録し、何年走ったか、書類で追える。だから「もう償却済み」という扱いが成立する。

PCにそれはない。CPUにもメモリにもGPUにも、いつ製造されていつから使われたかを保証する書類はない。GPUなら発売日くらいは公開されているし、運がよければ最初の購入レシートも残っている。サーバー機材になればメーカーに出荷記録があり、保守の履歴まで紐付いている。それでも税務上はダメらしい。理屈はさっぱり分からないが、秋葉原のジャンク屋で拾ったGPUも、メーカー保守を受けてきた中古サーバーも、新品と並んで資産管理台帳に載る。

弱小企業を経営している身からすると、最適行動はおのずと決まってくる。10万円未満で買えて、それなりに長く戦える機械。非エンジニアの従業員PCは、結局のところ中古のMチップMacBook Airに収束する。新品なら14万、中古なら10万を切る。本当は新品を渡したい。ただ、4年かけて償却するのは避けたい。だから数年落ちのMacを買い漁ることになる。

骨格は素直なはずだ。なのにその素直さに乗っかって最適化していくと、本当に渡したいものから遠ざかる。やっぱり、減価償却はわかりやすくない。