Human Bug
ITの世界は恵まれている、と思うことがある。
人事がスクリーニングし、テックインタビューで技術力を確認し、数日も一緒に働けばだいたいのことはわかる。コードは嘘をつかない。成果物は可視化される。問題がある人間は早期に検出できる。完璧ではないが、フィルタリングの仕組みがある。
IT以外の世界を見ると、そうでもないケースに出くわすことがある。
詳しくは書けない。ただ、極端に操作的な振る舞いをする人間がいるということは知っておいたほうがいい。言葉が巧みで、最初の印象は極めてよく、周囲からの評判も高い。でも近づくと何かがおかしい。事実と異なることを確信を持って語り、矛盾を指摘しても話がすり替わる。加害の自覚がないように見える。周囲の人間が少しずつ消耗していく。
パーソナリティの偏りに医学的な名前がつくことがある。でもそれは専門家が判断することであって、わたしがラベルを貼る話ではない。わかっているのは、ひとたび深く関わると、当事者だけでなく周囲の人間の生活にもかなりのダメージが及ぶということだ。
エンジニアはこの手の人間に弱いかもしれない、と思うことがある。わたしたちは日々コンピュータに間違いを突きつけられている。コンパイルエラー、テスト失敗、本番障害。自分が間違っていることを受け入れるのに慣れている。だから他者が強い確信を持って「正しい」と主張すると、自分のほうが間違っているのではないかと考えてしまう。その誠実さが裏目に出る。
距離を取れるならそれがいい。でも逃げられないときもある。ひとつだけ言えるのは、「第三者がこう言っていた」と伝聞で揺さぶってくる人間には注意したほうがいい。丁寧に事実確認をする習慣をつけておきたい。コードレビューと同じだ。