Free Tracker
Google Analyticsの前身がUrchinという有料ツールだったことを知っている人は減ってきた。
2005年にGoogleがUrchin Software Corporationを買収して、Google Analyticsとして無料で公開した。当時は衝撃だった。アクセス解析に月額数万円払っていた世界が、一夜にして無料になった。競合は壊滅した。無料で出されたら勝てるわけがない。Googleにとってはウェブの計測データそのものに価値があったのだろう。広告を売る側にとって、世界中のサイトのトラフィックデータほどおいしいものはない。
Universal Analyticsの時代は長かった。セッションベースの計測モデルで、ページビューを軸にすべてが回っていた。公式にはプロパティあたり月間1000万ヒットの上限があった。ただし実際にはその上限を超えても計測は止まらなかった。データがサンプリングされるだけだ。無料版で数千万ヒットを捌いていたサイトはいくらでもある。Googleもあえて止めなかったのだろう。データが集まるほうが都合がいい。
GA4への強制移行は荒れた。セッションベースからイベントベースへ。計測モデルが根本から変わった。過去のデータは引き継げない。何年分ものトレンドデータが断絶した。バックエンドがBigQueryに変わったことで、生データをSQLで直接触れるようになったのは進歩だが、それと引き換えにUIは難解になった。
無料で使わせてもらっている以上、文句を言える立場ではない。ただ、世界中のウェブサイトの計測基盤をひとつの企業が握っているという事実は、たまに立ち止まって考えたほうがいい。プラットフォームが変われば、計測の定義ごと変わる。わたしたちの数字は、Googleの都合で作られている。