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Own Forever

ATOKの買い切りがなくなったとき、地味に落ち込んだ。

長年使ってきた日本語入力だ。バージョンが上がるたびにパッケージを買い、インストールしていた。それがサブスクになった。月額660円。安い。安いのはわかっている。でもそういう問題ではない。

Adobeがサブスクに移行したのはもう10年以上前だ。Creative Suiteを買い切りで持っていた人間は、ある日突然レンタル生活を強いられた。企業からすれば合理的だ。収益が予測しやすくなる。毎年のメジャーリリースを売上の生命線にしなくていい。継続的に投資できる。開発サイクルも健全になる。よいことだ。頭ではわかっている。

でもどうにもしっくりこない。

30年分前払いするから買い切りにしてくれ、と本気で思う。100年分と言いたいところだが、そんなに生きていないだろうから30年で手を打つ。ライセンスキーをテキストファイルに保存して、オフラインで永遠に使いたい。

オンラインアクティベーションが好きじゃない。起動するたびにどこかのサーバーに問い合わせて、使っていいですかとお伺いを立てる。サーバーが落ちたら?会社が潰れたら?ネットワークが切れたら?買ったものが手元にあるのに使えなくなる可能性がある。それは「所有」ではない。

オフラインから来ている世代の感覚だと自覚している。常時接続が当たり前の世代には、この不安は伝わらないのだろう。テレホーダイの時代を知っている人間は、ネットワークが切れた世界を知っている。切れた世界でも動くものだけが、本当に自分のものだった。

いまのわたしのiPhoneは、ネットワークが切れたら文鎮になる。所有しているのか、借りているのか。もうよくわからない。