HDML
HDMLという言語を知っているだろうか。HTMLではない。HDMLだ。
ガラケーの時代、au(当時はIDO、あるいはDDIセルラーだった)で使われていたモバイルWeb規格だ。iモードのCompact HTMLとも、J-PhoneのMMLとも違う。キャリアごとに規格が違う。いまでは信じがたいが、当時はそれが当たり前だった。
HDMLの厄介なところは、WAPサーバーを経由することだった。ブラウザに届く前にサーバー側でバイナリにコンパイルされる。HTMLのようにルーズなパースは許されない。タグが一つ閉じていなければエラーだ。属性の順序が違ってもエラーだ。いまのXMLのstrictモードを、2000年代初頭の携帯電話でやっていたと思えばいい。
もちろんWi-Fiなんてない。回線速度は激遅だ。エラーを直して、アップロードして、携帯で確認して、またエラー。一回の試行に数分かかる。いまなら yarn dev で保存した瞬間にブラウザが更新される世界だ。あの頃は一日かけて画面を一つ作っていた。
しかも3キャリアそれぞれに別の言語で同じ画面を書く。サーバーサイドでUser-Agentを判定して出し分ける。レスポンシブどころの話ではない。マルチプラットフォーム対応の原体験がこれだった。
ホットリロードに慣れた手が、あの頃の忍耐を忘れかけている。