DNS Prank
最初の会社を創業したときの仲間に、悪戯好きのデザイナーがいた。
当時の代表はビリヤードにはまっていた。マイキューをビリヤード場に預け、仕事が終わると毎日のように通っていた。腕前はともかく、入れ込み方は相当なものだった。
4月1日の朝、そのデザイナーが偽のニュースサイトを立ち上げた。見出しは「○○ビリヤード場、未明の火災で全焼」。レイアウトも広告枠もそれらしく作り込んであって、一見すると本物のニュースサイトにしか見えない。さすがデザイナーだ。
それを見たインフラエンジニアが悪ノリした。社内DNSを書き換えたのだ。ニュースサイトのドメインに似せたURLが、社内ネットワークからのアクセスに限り偽サイトに解決されるようになった。外からは何も起きない。社内からだけ、本物のドメインで偽の記事が表示される。
かくして代表のもとに、限りなくリアルなニュースが届いた。
オフィスにかつてない絶叫が響き渡った。
デザイナーの造形力とインフラエンジニアのDNS知識が最悪の形で融合した瞬間だった。技術は使い方次第だとよく言うが、こういう使い方は想定されていない。代表はしばらく口をきいてくれなかった。
いい仲間だった。