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Power of Two

アキネーターで遊んでいたら、知り合いが出てきた。

二択の質問を繰り返すだけで、イメージした人物を特定する。5回の質問で2の5乗、32パターンを網羅できる。20回で100万を超える。二択の繰り返しは冪乗であり、人間の直感が追いつかないスピードで空間を絞り込む。

このスケール感を悪用した詐欺がある。株価予測スパムだ。

ある日メールが届く。明日の株価は上がる、と。翌日、本当に上がった。次の日もメールが届く。今度は下がる、と。当たった。3日連続で的中する。そして4通目が届く。次の予測を知りたければ、お金を払え。

仕組みはこうだ。最初に大量のアドレスにメールを送る。半分には「上がる」、半分には「下がる」。翌日、当たったグループだけに次のメールを送る。また半分に分ける。3回繰り返せば、2の3乗分の1——8分の1のグループには「3回連続で的中した預言者」からメールが届いている。そのグループに商材を売りつける。予測能力はゼロだ。二分木を辿っただけだ。

エンジニアにとって2の冪乗は馴染み深い。バイナリサーチは毎回半分に絞る。100万件のソート済み配列から、20回の比較で値を見つけられる。二択を繰り返すだけで、空間は対数のスピードで狭まっていく。

アキネーターの質問も、バイナリサーチも、株価予測スパムも、やっていることは同じだ。二択を繰り返しているだけ。違いは、その先に何を置くかだ。

知り合いの名前が画面に出てきたとき、少し笑った。33回の二択で、地球上80億人の中から一人にたどり着ける。たった33回。2の冪乗は、正しく使えば魔法に見える。