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Image Format Wars

JPEGのコメント領域にGPS座標が入っていることを知らない人がいる。

Exifという仕様がある。撮影日時、カメラの機種、絞り、シャッタースピード。そしてGPS座標。写真を撮ってSNSにアップすると、自宅の緯度経度が全世界に公開される。いまではほとんどのサービスがアップロード時にExifを削除してくれるが、昔はそのまま残っていた。ストーカー事案の原因になったこともある。便利な仕様が、そのまま脆弱性になる好例だ。

画像フォーマットの歴史は長い。GIFは1987年に登場した。256色しか使えないが、アニメーションができる。LZW圧縮の特許問題でUnisysに訴えられ、PNGが生まれた。PNGはフルカラーで透過もできるが、アニメーションはできない。APNGという拡張もあるが、普及しなかった。結局アニメーションGIFが生き残った。特許が切れたからだ。特許が切れたとき、同僚のデザイナーと祝杯をあげたのを覚えている。

JPEGは写真に強い。不可逆圧縮でファイルサイズを劇的に小さくできる。ただし圧縮するたびに劣化する。保存を繰り返すと画質が落ちていく。PNGは可逆だから劣化しないが、ファイルサイズが大きい。用途で使い分けるしかなかった。

ガラケー時代にはJPEGのコメント領域にコピー禁止フラグを仕込むという荒技があった。著作権保護のためにキャリアが独自に実装した仕組みだ。待ち受け画像をダウンロードしても、他の端末に転送できない。赤外線で送ろうとしてもブロックされる。いま考えるとDRMの走りだが、端末を変えたら消えるデジタルコンテンツに金を払っていたわけだ。

GoogleがWebPを出してきたとき、ようやくすべてが一本化される気がした。写真もイラストも透過もアニメーションも、1フォーマットでカバーできる。ファイルサイズはJPEGより小さい。ただしブラウザの対応がなかなか進まなかった。IEがWebPをサポートしなかったからだ。IEが死んで、ようやくWebPが使える時代が来た。

AVIFという次の規格も控えている。画像フォーマットの戦争は終わらない。しかしJPEGは残るだろう。たぶん、わたしたちが全員引退しても残っている。